和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック

院長BlogDOCTOR BLOG

DOCTOR BLOG

【専門医が解説◎ピロリ菌について】

【ピロリ菌 感染経路】

目次


■ピロリ菌とは何か?

■ピロリ菌の症状と見逃しやすさ

■ピロリ菌の感染経路とは?

■経口感染の実態とリスク

■家庭内感染

■日本と世界で異なる感染率の理由

■ピロリ菌の検査方法

■ピロリ菌の除菌治療とは?

■よくある質問

■ご予約はこちらから

■ピロリ菌とは何か?

ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃の中に住みつくらせん状の細菌です。胃酸という過酷な環境でも生き延びる特殊な性質を持ち、主に胃の粘膜に感染して胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因になるとされています。現在、日本では中高年層の約半数が感染しているといわれています。


日本は上下水道や衛生環境が整っているにもかかわらず、ピロリ菌の感染率が高いとされています。その理由の一つに「昔の衛生環境」が挙げられます。幼少期に感染したまま大人になっているケースが多く、年代によって感染率が大きく異なるのが特徴です。

本ページでは、そんなピロリ菌がどういった経路で感染していくのかという点に焦点を当てて解説しております。



■ピロリ菌の症状と見逃しやすさ

ピロリ菌感染が確認された場合には、医師の指導のもと除菌治療が行われます。これは、抗生物質と胃酸分泌抑制薬を一定期間服用することで菌を死滅させる治療法です。一般的には7日間の三剤併用療法が行われ、成功率はおよそ70〜90%と高い水準です。


しかし、近年では抗生物質が効かない耐性菌の存在が増えてきており、1回の治療で完全に除菌できないこともあります。その場合は、薬を変えて2次、3次治療が行われます。除菌が成功すれば、胃炎の改善はもちろん、胃がんの発症リスクを大幅に下げることができるというデータもあります。


副作用としては、下痢や吐き気、食欲低下などが一時的に現れることがありますが、重症化するケースはまれであり、医師の管理のもとで安全に治療を進めることができます





■ピロリ菌の感染経路とは?

主な感染経路3つ(経口感染・家庭内感染・水や食物)です。


ピロリ菌の感染経路は非常に限られており、主に口から体内に入る「経口感染」が中心となります。経口感染とはつまり、菌が唾液や水、食品などを介して口から体内に入り、最終的に胃に到達して定着するというメカニズムです。このプロセスは一度限りであることが多く、感染時期は幼少期、特に5歳以下のころが最も多いとされています。これは免疫機能や胃酸の分泌が未発達な時期であり、菌が生き残りやすい環境であるためです。


家庭内感染も無視できない重要なルートです。家族間で同じ食器や箸を使い回したり、大人が噛み砕いた食べ物を子どもに与えたりする行為が、ピロリ菌の媒介となります。特に親子間、あるいは祖父母と孫の間での濃厚な接触によって菌が移動するケースが多く報告されています。


また、かつては飲料水が井戸水や雨水であった地域も多く、そこで細菌が混入していた場合、日常的に水を飲むことで体内に菌が入り込むことがありました。このようにして、ピロリ菌は特定の世代に広く感染し、そのまま持続感染するという特徴を持っています。





■経口感染の実態とリスク

ピロリ菌の主な感染ルートのひとつである経口感染は、その名の通り「口を通じて」菌が体内に入り込む形を取ります。具体的には、菌に汚染された飲食物を摂取することによって胃へ到達するケースが挙げられます。この経口感染のリスクは、特に衛生環境が整っていない地域において高まる傾向にあります。


過去の日本では、井戸水を生活用水として利用していた時代が長く続いていました。そのため、水源に細菌が混入していた場合、家庭全体が知らずに感染するリスクがあったのです。また、食品衛生の知識が普及していなかった時代には、生野菜や非加熱の肉類などを介して感染が広がることもあったと考えられています。さらに、現在でも一部の国や地域では、飲み水が安全に消毒されていないまま使用されているため、発展途上国ではピロリ菌の感染率が依然として高い傾向にあります。


こうした経口感染の実態を踏まえると、衛生管理の重要性が明らかになります。とくに手洗いや食品の洗浄・加熱調理の徹底、水道水の使用といった基本的な衛生行動が、感染のリスクを下げる上で非常に有効です。家族の中に感染者がいる場合は、食器の共有や飲み物の回し飲みを避けるなどの配慮も欠かせません。




■家庭内感染

ピロリ菌の感染源として特に注目されているのが、家庭内での感染です。つまり、家庭という閉じた空間の中で、日常的な接触を通じて菌が移動してしまうというパターンです。感染の多くが幼少期に集中していることからも、家庭環境が与える影響の大きさがうかがえます。


具体的には、親が子どもに食事を与える際に、自分の箸やスプーンを使い回すといった行為が感染の原因となります。たとえば、親が一度口にしたスプーンで離乳食を与える、噛み砕いた食べ物を与えるといった行動は、無意識のうちに唾液を介してピロリ菌を子どもに移す可能性があります。こうした行動は、日本の家庭においては長らく「当たり前」の育児習慣として行われてきたため、感染が広がる土壌となってしまったのです。


また、兄弟間でも同じように食器を使いまわしたり、飲み物を共有したりする場面が多いため、感染が連鎖的に広がる可能性があります。一度家族内に感染者がいると、その家庭の他の成員も感染しているケースが非常に高いとされており、ピロリ菌の家庭内感染は見過ごすことのできない問題となっています。


現代では、こうした家庭内の習慣に対する啓発が進んでおり、自治体や保健所などでも乳幼児期の感染予防について指導が行われるようになってきました。それでも、完全に防ぎきるには至っておらず、家庭での衛生教育と意識の向上が今後の課題とされています。




■日本と世界で異なる感染率の理由

ピロリ菌の感染率には、国や地域によって大きな差があります。たとえば、先進国の中でも欧米諸国ではピロリ菌の感染率が比較的低く、日本やアジア諸国では高い傾向があります。この違いにはいくつかの背景が存在しますが、最も大きな要因は「衛生環境」と「生活習慣」の違いにあります。


欧米では、19世紀後半から20世紀にかけて公衆衛生の制度整備が早く進み、上下水道の普及や食の衛生管理が徹底されてきました。加えて、感染症に対する知識の広がりとともに、家庭内での感染予防も意識されるようになったことで、幼少期にピロリ菌に感染する機会そのものが激減したと考えられています。


一方、日本では戦後まで多くの地域で井戸水の利用が続いており、家庭内での食器や食べ物の共有も当たり前でした。これらが複合的に作用し、高い感染率を生んだのです。また、近年になってようやくピロリ菌に関する医療知識が一般にも普及し始めたため、感染者の検出と除菌治療が本格化してきたのは比較的最近の話です。


また、世界的な視点で見ると、アフリカ、中南米、東南アジアなどの発展途上国では依然として高い感染率が報告されています。これは、安全な飲料水の確保が難しいことや、医療インフラの未整備によって感染の拡大を防ぎにくいといった事情が影響しています。


こうした地域差を理解することで、自国の感染状況を客観的に捉えると同時に、国際的な衛生問題としてのピロリ菌感染にも関心を持つことが求められます。




■ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌に感染しているかどうかを判断するためには、医療機関での検査が必要です。主な検査方法には、尿素呼気試験、便中抗原検査、血液検査、内視鏡(胃カメラ)による生検などがあり、それぞれに特徴と利点があります。


中でも一般的なのが「尿素呼気試験」です。これは、検査薬を飲んだ後に息を吹きかけるだけで、ピロリ菌の存在を呼気中の成分から判断するという簡便な方法で、痛みもなく短時間で結果が得られます。また、「便中抗原検査」は便の中に菌の成分が含まれているかどうかを調べる方法で、除菌後の確認にも用いられることが多いです。


血液検査では、ピロリ菌に対する抗体が体内にあるかを調べることができ、過去に感染したことがあるかを知ることが可能です。ただし、抗体は除菌後も一定期間残るため、現在の感染状態を知るには不十分な場合もあります。


より詳しい診断を希望する場合は、内視鏡を用いた胃粘膜の観察と生検が行われることがあります。これは胃がんの有無を調べる際にも有効で、ピロリ菌の活動状況や胃の損傷度合いを詳細に把握することができます。




■ピロリ菌の除菌治療とは?

ピロリ菌感染が確認された場合には、医師の指導のもと除菌治療が行われます。これは、抗生物質と胃酸分泌抑制薬を一定期間服用することで菌を死滅させる治療法です。一般的には7日間の三剤併用療法が行われ、成功率はおよそ70〜90%と高い水準です。


しかし、近年では抗生物質が効かない耐性菌の存在が増えてきており、1回の治療で完全に除菌できないこともあります。その場合は、薬を変えて2次、3次治療が行われます。除菌が成功すれば、胃炎の改善はもちろん、胃がんの発症リスクを大幅に下げることができるというデータもあります。


副作用としては、下痢や吐き気、食欲低下などが一時的に現れることがありますが、重症化するケースはまれであり、医師の管理のもとで安全に治療を進めることができます



除菌が成功してもピロリ菌に感染したことがある方は胃癌ハイリスク患者さんです。
年に一度の胃カメラは必ず受けるようにしましょう。

■よくある質問

Q1: ピロリ菌は自然に治りますか?

A1: 自然治癒はほとんどなく、放置すると慢性化するため、除菌治療が必要です。


Q2: 感染していても無症状なら放っておいてもいい?

A2: 無症状でも胃がんリスクがあるため、検査と治療を受けるのが望ましいです。


Q3: 除菌すれば再発しませんか?

A3: 日本ではほぼありえません。しかし一部の方は除菌後も再感染のリスクがあるため、生活習慣の見直しが重要です。


Q4: 子どもでも除菌治療を受けられますか?

A4: はい、医師の判断のもと年齢に応じた治療が可能です。


Q5: どこで検査を受けられますか?

A5: 一般的な内科、消化器内科、または市町村の健診で対応しています。


Q6: 健康保険は使えますか?

A6: 胃カメラで胃炎や潰瘍が認められた場合、保険適用となります。




■ご予約はこちらから

当院では、ピロリ菌感染が不安な方にもしっかりと診察と検査を行います。場合によっては、内視鏡検査のご提案もいたします。まずは、外来のご予約のうえご来院ください。24時間web予約が可能です。


「予約はこちら」

(予約リンク貼り付け)

https://wakonaishikyo.reserve.ne.jp/sp/index.php?

LINE
TOP

24時間受付中WEB予約

待ち時間を削減WEB問診

LINE

ともだち追加LINE